chapter: 8 一元配置分散分析(被験者間計画)

【例題】サンプルデータ※データは架空  学年によって,1日の睡眠時間が異なるのかを調べるため,小学1年生,中学1年生,高校1年生の睡眠時間を測定した。学年によって睡眠時間が異なるかを調べなさい。

 小学1年生,中学1年生,高校1年生は学年という質的変数,睡眠時間は量的変数となる。質的変数においては,3水準(各学年)であり,これらは異なる人の比較となる。このように異なる質的変数(3水準以上)と量的変数との関連性を調べるときには,一元配置分散分析(被験者間計画)を用いる。

データの説明

変数名 内容 尺度水準
ID ID 名義尺度
SchoolYear 1 = Primary(小学1年生)
2 = Junior High(中学1年生)
3 = High(高校1年生)
名義尺度
SleepTime 睡眠時間(時間) 比率尺度(スケール)
  • ID:ID
  • 学年:1 = 小学1年生,2 = 中学1年生,3 = 高校1年生
  • 睡眠時間:睡眠時間

8.1 分析の実施

 値ラベルをデータの説明に従って設定

  1. 分散分析
  2. 伝統的の分散分析

  1. 従属変数に(量的)変数を移動
  2. 固定要因に(質的)変数を移動
  3. 表示の記述統計を☑
  4. 効果量の推定値を☑にし,\(η^2\)

  1. ▶記述統計量プロットをクリック
  2. 横軸に質的変数を移動
  3. 表示の中のエラーバーの表示を☑にし,標準誤差を選択
  4. ▶雨雲プロットをクリック
  5. 横軸に質的変数を移動

8.2 出力結果(1)

記述統計量

 記述統計として,平均値,標準偏差を図か表でまとめる(赤色の部分)。

※自動的に並び変わることがあるため,要注意

 データがどのように分布しているかを確認するために,雨雲プロットも確認する。

分散分析

 一元配置分散分析の結果は,F値(F),自由度2つ(df),有意確率(p),効果サイズ(η2,ηp2)がまとめられている(赤色の部分)。

 一元配置分散分析の結果は,F(2, 53) = 5.989, p = .005, ηp2 = .184であり,有意であった。しかし,この結果は,具体的にどこに差があるかはわからないため,どこに差があるのかを多重比較(対比較)する必要がある。

8.3 多重比較

  1. ▶事後検定をクリック
  2. 多重比較する群(質的変数)を右側に移動する
  3. 補正の中にあるテューキー(Tukey)を☑にする
  4. 補正の中にあるボンフェローニ(Bonferroni)を☑にする

8.4 出力結果(2)

Post Hoc Comparisons

 対で比較した結果として,それぞれの多重比較の方法で有意確率(p)が算出される(赤色の部分)。

 Bonferroni法による多重比較を採用した場合,以下のように解釈される。大小関係は平均値より判断する。

  • 小学1年生と中学1年生を比較したところ,p = .023となっており,小学1年生の方が中学1年生よりも有意に長い
  • 小学1年生と高校1年生を比較したところ,p = .008となっており,小学1年生の方が中学1年生よりも有意に長い
  • 中学1年生と高校1年生を比較したところ,p = .999(表記上は1.000)となっており,中学1年生と高校1年生に有意な差がない

8.5 記述例

 学年によって,1日の睡眠時間が異なるのかを調べるため,小学1年生,中学1年生,高校1年生の睡眠時間を測定したデータを用いて,睡眠時間を従属変数とする一元配置分散分析を行った。その結果,学年に有意な効果が見られた(F(2, 53) = 5.989, p = .005, ηp2 = .184)。そこで,Bonferroni法による多重比較を行ったところ,睡眠時間は小学1年生(M = 8.25, SD = 0.55)は中学1年生(M = 7.83, SD = 0.38)よりも有意に長く(p = .023),また,高校1年生(M = 7.78, SD = 0.43)よりも有意に長かった(p = .008)。一方,中学1年生と高校1年生の間には,有意な差は見られなかった(p = .999)。